木版画とパピエ・コレによる長谷川雄一展
変容する断片
コラージュ。かつての作品の断片を多様に組み合わせて、二重三重の思わぬ効果を生み出している。ポリフォニー的な対話が果てしなく続く、見ていて飽きない。色調も落ち着いていていい。完成品でなく、未完成なところがいい。長谷川雄一は、数年おきに新しい探求に乗りす。自分で獲得した色彩、形象、マチエール、構成を追求し尽くし、息苦しくなるや大気を求めて脱出する。今回の個展では、結果ではなく、過程を見ることができてうれしい、制作に参加している気分になれるからだ。そしてなによりも、立ち止まらない大気が感じられるからだ。
故 北山 研二 ( 元 成城大学名誉教授 )